2017年4月から介護職員処遇改善加算、手続きや対象職種をまとめ
 

平成29年度(2017年4月1日~)の介護報酬改定による介護職員処遇改善加算の拡充、キャリアパス要件ⅠⅡⅢ、職場環境等要件、計画書、加算率、介護報酬総単位数計算方法の例、申請事務処理手続きについて。
平成29年度介護報酬改定は、介護人材の処遇改善についてキャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の処遇改善を実施するため、臨時に1.14%(うち、在宅分:0.72%、施設分:0.42%)の介護報酬改定を行う事となりました。
従来から処遇改善加算という名目はありましたが、この比率を高め、介護職員の賃金アップにすることと合わせ、事業者が継続的に介護職員の給与アップをさせることを決めさせるという内容の改定となります。
どうやったら給料が上がるのかということを、事業者は明示し、その内容について行政機関に申請するものです。
介護職員のお給料を将来的にもアップさせることを約束する事業者には加算率を高くし、人材が集まりやすく定着しやすいようにする狙いがあります。
新・処遇改善加算(Ⅰ)算定要件としては、資格や勤続年数などにより昇給を行うことを全職員に告知することが求められており、事業者の経営基盤や透明性も問われる内容となっています。

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介護職員処遇改善加算の概要

2017年介護職員処遇改善加算の区分

介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに 事務処理手順及び様式例の提示について

平成29年3月9日  老発0309第5号 厚生労働省老健局長
加算は、平成 23 年度まで実施されていた介護職員処遇改善交付金(以下「交付金」と いう。)による賃金改善の効果を継続する観点から、平成 24 年度から当該交付金を円滑に介護報酬に移行し、当該交付金の対象であった介護サービスに従事する介護職員の賃 改善に充てることを目的に創設されたものである。
このため、当該交付金の交付を受けていた介護サービス事業者又は介護保険施設(以 下「介護サービス事業者等」という。)は、原則として当該交付金による賃金改善の水準を維持することが求められる。
また、平成 27 年度の介護報酬改定においては、事業主が介護職員の資質向上や雇用管 理の改善をより一層推進し、介護職員が積極的に資質向上やキャリア形成を行うことが できる労働環境を整備するとともに、介護職員自身が研修等を積極的に活用することに より、介護職員の社会的・経済的な評価が高まっていく好循環を生み出していくことが重要であることを踏まえ、事業主の取組がより一層促進されるよう加算を拡充したものである。 さらに、平成 29 年度の介護報酬改定においては、介護人材の職場定着の必要性、介護福祉士に期待される役割の増大、介護サービス事業者等による昇給や評価を含む賃金制度の整備・運用状況などを踏まえ、事業者による、昇給と結びついた形でのキャリアアップの仕組みの構築を促すため、更なる加算の拡充を行うものである。
なお、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与並びに 介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防福祉用具貸与並びに居宅介護支援及び介護予防支援は算定対象外とする。

キャリアパス要件(人材育成制度)

キャリアパス要件Ⅰ

キャリアパス要件Ⅰは、以下に全てに適合すること。

  • 介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
  • 職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
  • 内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。

キャリアパス要件Ⅱ

キャリアパス要件Ⅱは、以下に全てに適合すること。

  • 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び一又は二に掲げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。
  • 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT等)するとともに、介護職員の能力評価を行うこと。
  • 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
  • 全ての介護職員に周知していること。

キャリアパス要件Ⅲ

キャリアパス要件Ⅲは、以下に介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けて、内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。

経験に応じて昇給する仕組み

「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること

資格等に応じて昇給する仕組み

「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの資格取得に応じて昇給する仕組みであること。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。

一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み

「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。

職場環境等要件

資質の向上

  • 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サ ービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援(研修受講時の他の介護職員の負担を軽減するための代替職員確保を含む)
  • 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
  • 小規模事業者の共同による採用
  • 人事ローテーション・研修のための制度構築
  • キャリアパス要件に該当する事項(キャリアパス要件を満たしていない介護事 業者に限る)
  • その他

職場環境・ 処遇の改善

  • 新人介護職員の早期離職防止のためのエルダー・メンター(新人指導担当者) 制度等導入
  • 雇用管理改善のための管理者の労働・安全衛生法規、休暇・休職制度に係る研 修受講等による雇用管理改善対策の充実
  • ICT活用(ケア内容や申し送り事項の共有(事業所内に加えタブレット端末を活用し訪問先でアクセスを可能にすること等を含む)による介護職員の事務 負担軽減、個々の利用者へのサービス履歴・訪問介護員の出勤情報管理によるサービス提供責任者のシフト管理に係る事務負担軽減、利用者情報蓄積による 利用者個々の特性に応じたサービス提供等)による業務省力化
  • 介護職員の腰痛対策を含む負担軽減のための介護ロボットやリフト等の介護機器等導入
  • 子育てとの両立を目指す者のための育児休業制度等の充実、事業所内保育施設の整備
  • ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
  • 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化
  • 健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化、職員休憩室
  • 分煙スペース等の整備
  • その他

その他

  • 介護サービス情報公表制度の活用による経営
  • 人材育成理念の見える化
  • 中途採用者(他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等)に特化した人事制 度の確立(勤務シフトの配慮、短時間正規職員制度の導入等)
  • 障害を有する者でも働きやすい職場環境構築や勤務シフト配慮
  • 地域の児童・生徒や住民との交流による地域包括ケアの一員としてのモチベー ション向上
  • 非正規職員から正規職員への転換
  • 職員の増員による業務負担の軽減
  • その他

2017年4月からの介護職員処遇改善加算(Ⅰ)加算率

・(介護予防)訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
13.7%
・(介護予防)訪問入浴介護 5.8%
・(介護予防)通所介護
・地域密着型通所介護
5.9%
・(介護予防)通所リハビリテーション 4.7%
・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
8.2%
・(介護予防)認知症対応型通所介護 10.4%
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・複合型サービス
10.2%
・(介護予防)認知症対応型共同生活介護 11.1%
・介護福祉施設サービス
・地域密着型介護老人福祉施設
・(介護予防)短期入所生活介護
8.3%
・介護保健施設サービス
・(介護予防)短期入所療養介護(老健)
3.9%
・介護療養施設サービス
・(介護予防)短期入所療養介護
(病院等(老健以外))
2.6%

介護職員処遇改善計画書

加算を取得しようとする介護サービス事業者等は、介護職員処遇改善計画書を作成し、都道府県知事等に届け出ることとされています。

加算の見込額

実際の介護報酬総単位数×(1+サービス別加算率)×1単位の単価   の計算で新加算適応前後での差を割り出す

賃金改善の見込額

賃金改善実施期間における賃金改善に要する見込額

賃金改善実施期間

原則4月から翌年の3月まで

介護報酬の計算方法

実際の介護報酬総額は、次の計算による。

実際の介護報酬総単位数×(1+サービス別加算率)×1単位の単価

処遇改善加算の変更による利用者の自己負担の変化

例えば、通所介護のみを利用していて介護報酬総単位数が15000単位の方の場合
旧処遇改善加算(Ⅰ)4.0% → 新処遇改善加算(Ⅰ)5.9%
15000×1.040=15600単位(=1割自己負担15600円)
15000×1.059=15885単位(=1割自己負担15885円)
15885円ー15600円=285円  つまり、285円の自己負担アップということになります。

処遇改善手当ての対象職種

処遇改善加算の対象職種は「直接処遇職員」となっており、ご利用者に直接介護している職種に限られ、以下のように定められています。

処遇改善加算の手当てを受けられる対象職種

ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、保育士、世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、訪問支援員、介護職員

処遇改善加算の手当ての対象外の職種

原則として管理者やサービス管理責任者、生活相談員、看護師、准看護師、ケアマネジャー、事務職、理学療法士・作業療法士・栄養士などは処遇改善加算の手当てを支給する対象外となります。

処遇改善手当の給与反映

事業者としては、この方の介護報酬は保険給付分と合わせると2850円アップで、そのように増加した分は介護職員にすべて分配することになっています。
原則は介護を行う従業員の勤務時間などで公平性をもって分配するのですが、処遇改善加算の分配方法は施設や会社に任せられており、職種や役職で不公平が生じたりしています。

平成29年度当初の介護職員処遇改善加算の届け出の特例

「平成29年度介護報酬改定による介護職員処遇改善加算の拡充について」(平成29年1月30日厚生労働省老健局振興課・老人保健課事務連絡)においてお示ししたとおり、平成29年度当初から加算を取得しようとする介護サービス事業者等は、2017年4月15日までに介護職員処遇改善計画書及び計画書添付書類を提出することとなっています。

介護職員処遇改善加算に関する考え方と事務処理手順及び様式例(申請書類)

平成29年3月9日に、厚生労働省老健局長から各都道府県知事宛てに送付された文書です。
介護職員処遇改善加算に関する考え方と事務処理手順及び様式例(申請書類)のワードファイルです。

「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式令の提示について」(老発0309第5号)

介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式令の提示について(通知本文・別紙様式等)

2019年10月からの介護職員特定処遇等改善加算

2019年10月からはこの処遇改善加算に上乗せされる形で特定処遇改善加算が新設されます。詳しくは以下で!