36協定(サブロク協定)と労働組合、介護の残業と待遇
 

労働組合の活動が下火になった現在、「36協定」(サブロク協定)について知らない人も多くなっています。
かつては組合加入率が60%以上あった時代もありました。
三池闘争という経営側と労働者側の激しい対立も語り草です。
しかし、今の時代は労働組合加入率は20%さえ切っています。そんな現代において「36協定」(サブロク協定)などと言っても知らない人のほうが多くて当然です。

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「36協定」(サブロク協定)とは?

これは「サブロク協定」と読みます。
わかりやすく言いますと、「従業員に残業をさせるときは事前に組合と協定を結ぶ必要があります」というものです。
この説明からわかるとおり、基本的には残業はしないものなのです。残業が無いことが基本です。
ですから、もし「残業させるなら残業代は割増賃金を支払いなさい」と法律で定められています。

残業させるなら残業代は25%割増賃金

割増の割合は25%アップですから、仮に時給で2,000円だったなら残業代は2,000円×1.25で2,500円支払わなければいけなかったのです。
月給従業員の場合は、基本給+役職手当(資格手当などを除く)を所定労働時間で割って算出した時給相当に25%を割り増しすることが多いです。

名ばかり管理職、名ばかり店長で残業代未払い問題

10年くらい前ですが、「名ばかり店長」という言葉がマスコミで取り上げられることがありました。さらには「名ばかり管理職」という言葉まで登場しました。
これらに共通する目的は管理職に昇格させることで残業代を支払わなくて済むことです。管理職は組合員ではありませんので36協定とは無縁ですし、残業代とも無縁です。
つまり管理職には残業代は支払わなくてもよいことになっています。それを悪用した「名ばかり」だったわけです。

労働者の権利、労働3権(団結権、団体交渉権、団体行動権)

憲法28条に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と規定されています。
労働問題に踏み込む前に、中学校の社会科で習う労働基本権と労働3法を復習しておきます。
労働基本権については、使用者不当に介入したり、権利を侵すことは禁じられています。

団結権は、個人でなく団体(労働組合)を作れる権利

団結権は、労働条件の維持、改善のために使用者と対等に交渉できる団体の結成と参加をできる権利です。

団体交渉権は、労働組合の代表が使用者と交渉する権利

団体行動権は、労働者団体の代表が使用者と労働条件などについて交渉できる権利です。

団体行動権は、使用者に争議行動する権利

団体行動権は、使用者との対等性を確保するためにストライキなどの抗議・争議を行うことができる権利です。

労働組合とブラック企業・サービス残業

サービス残業は当然の感覚で働いているのが普通です。
現代は争議を行うと気違い扱いされる風潮や、争うくらいならやめた方が楽という考えが蔓延しています。
その一方で、特に介護・医療・福祉・保育などの奉仕性が高い職種では、患者や利用者・子どもたちの笑顔のために果てしない「残業」をするケースも多くあります。

「残業は付けられない?」サービス残業は当たり前という洗脳

先輩職員や中間管理職も一種の洗脳を受けていて、終わらない業務を強いられているのに「残業は付けられない」ということを平気で言うケースもあります。
別に仕事熱心でなく普通に働いている人でも「残業しないで仕事が終わるはずはない」という感覚を持ってい人も多いはずです。
ですから、実は36協定は意味がなくなっていました。この協定が威力を発揮していたのは労働組合が大きな力を持っていた時代です
今の時代、マスコミを賑わせている言葉に「ブラック企業」とか「ブラックバイト」などというのがありますが、もし労働組合が機能していた昔の時代ならば、あり得ない状態です。

介護の仕事では勤務時間前の業務やサービス残業が当たり前?

労働組合と36協定

労働組合全盛時代は、人事ひとつ行うにも労働組合の了承が必要でした。今の人には信じられないでしょうが、そういう時代でした。
そして、それが企業の存続にさえ影響を与えていました。ある自動車の大企業は労働組合が強いばかりに段々と業績が悪化してきましたが、労働組合が強いばかりにどうすることもできずにいました。結局、倒産寸前まで行ったところで外資に身売りをすることになりました。日本では労働組合絡みの問題を解決することができなかったからです。外資ですとなんのしがらみがありませんからドライスティックに対応することができます。結果的にそれが功を奏してV字回復を成し遂げたわけですが、労働組合は企業にとって諸刃の剣でもあります。

医療・介護の従業員も低待遇を受け入れないで

労働組合が強すぎると企業の業績が悪くしますし、弱いと労働者の立場が弱くなります。
医療・介護などの業界で離職率が高いのは、労働者が待遇の改善に対して直接的な声を上げないことが大きいです。
労働者の立場が弱い状態は、また離職率が高くなったりして業績が悪化するのです。
36協定は機能すれば使用者と労働者の対等性を保つ一つのルールになります。
これらが適切に稼働できている状態が、使用者にとっても従業員にとっても最も理想的といえそうです。

自分の職場・会社・法人でなくても労働組合に加入できる

医療・介護・保育などの福祉分野では、規律を守り、忍耐がある方が多く、なんとなく労働争議には消極的です。
メディア等も医療・介護は低待遇ということを問題にしながらも実際に待遇改善の手助けをすることはありません。

日本で唯一!福祉・保育・介護の専門の労働組合「福祉保育労」

保育所や高齢者施設、障害者・児施設、児童養護施設など、民間の福祉に働くなかまなら、誰でも入れるのが福祉保育労(全国福祉保育労働組合)です。職場をこえた全国のなかまの力をあわせて、福祉職場の賃金・労働条件の改善、よりよい福祉の実現にむけて活動しています。

日本医労連 「医療・介護・福祉ユニオン」

日本医労連(日本医療労働組合連合会)は、病院や診療所、福祉施設などの職場で働く労働者・労働組合でつくっている、日本で唯一の医療の「産業別労働組合(産別)」です。

待遇・労働環境・条件について不満があるときは、労働組合組織に相談し、同志と力を合わせて改善を目指すという手もあります。
ひとりひとりの行動により、仕事の地位自体が向上し、自分たちの待遇も向上します。
良い仕事しているのですから、軽視されていては悔しいです。みんなで行動しましょう。