高齢者の血圧の測り方 バイタル測定方法と血圧変化の留意点
 

高齢者の血圧の正しい測り方と血圧測定時に食事・入浴・運動などをした後や、精神状態・測定時刻などにより血圧が上下する理由について紹介します。

血圧が変化する原因は大きく分けると2つ!

血圧は、心臓がドックンドックンとたくさん血液が全身に送られている時は高くなります。
また、浮腫みに代表されるように、末梢(末端)の抵抗(血管の通りにくさ)が高くなると高くなります。これが血圧測定の時に血圧が高くなる主な原因です。
極端な話をすれば、血が流れないように手足を縛ったとしたら、血圧は一気に上昇しますよね。

運動をしている時と運動直後は血圧が上昇し、その後血圧は低下する

運動をしている時は、筋肉で酸素を欲してたくさんの血液が供給されている中、力んで抹消の血管が通りにくくなっているという状態なので血圧測定をした場合には血圧が高く出ます。

この時のイメージは、血管にいっぱい血液を送り出し、筋肉の所で溢れださせるという感じです。そのため、血圧は高い状態になります。
筋肉は運動するとき酸素をたくさん必要とします。血液には酸素がいっぱい含まれておりますので、酸素の需要に合わせて心臓は動きます。
その後、運動を止めると筋肉はそれほど酸素を使わないため、心臓から送りだされる血液の量も減少、筋肉での抵抗も減少、その結果血圧は低下します。

血圧の測定は条件にも注目

血圧は一定なわけではありません。時間や環境によって変動していくものです。
そのため、血圧測定は、測定する時刻、測定する時の姿勢、測定手順、測定前に何をしていたかをしっかりと整えます。

仮に寝たまま背臥位で血圧測定した測定値は座位で測定した値とは異なりますし意味合いも違うものになります。

血圧の基本的な測定方法

血圧ドットコムの血圧測定に関する記事から、きちんとした手順や環境を整えて血圧測定する方法を引用します
高齢者の場合、必ずしも椅子に座れるわけではありませんので、毎回同じ条件で測定ができるように測定をする人で情報共有します。

上腕式血圧計

CHECK.1 素肌か薄手の肌着の上に巻く

素肌か薄手の肌着の上に巻く
カフは、素肌か薄手の肌着の上に、すき間ができないようにぴったりと巻きます。セーターなど厚手の服は、腕まくりをせずに脱いでから測定してください。

CHECK.2 エアチューブは手のひら側

エアチューブは手のひら側
エアチューブを手のひら側にして、腕の中心にくるように位置を調整しましょう。

CHECK.3 カフを巻く位置

カフを巻く位置
カフがひじの関節部にかからないように、ひじの内側のくぼみから1~2cm上に巻きます。

手首式血圧計

CHECK.1 素肌の上に巻く

素肌の上に巻く
カフは、素肌の上に、すき間ができないようにぴったりと巻きます。

CHECK.2 巻きやすい方の手首に巻く

巻きやすいほうの手首に巻く
カフは、巻きやすい方の手首に巻いてください。ただし、左手首と右手首では、測定値が異なる場合があるため、いつも同じ手首で測りましょう。

CHECK.3 カフを巻く位置

カフを巻く位置
カフが手首の骨にかからないように、手首と手のひらの境目から1~1.5cm離して巻きます。

引用:血圧計の正しいつかいかた|【ゼロイベント】高血圧による脳・心血管疾患の発症ゼロ|オムロン ヘルスケア

それでは、高齢者の血圧測定をする際に知っておきたい留意点をまとめました。こんなときは血圧が高く出るよ、食事の後は?などを確認していきましょう!

知っておくと役立つ、高齢者の血圧測定と血圧変化の留意点

高齢者を想定した場合、血圧を測定する場面として多いのは以下のような時です。
ただし、冒頭でも説明したように、血圧は心臓の動きや末梢の抵抗などで常に変化しています。

高齢者の入浴時の血圧測定は信ぴょう性に乏しい

入浴する時など、寒い脱衣所で裸になったり、熱い湯に入ると血圧は急上昇しますが、少しぬるめの適温の湯に長く入っていると下がっていくという特徴があるため留意しましょう。

たばこを吸った後、喫煙により血圧が上昇する

たばこを吸った時、喫煙後は血圧は上がります。これはニコチンにより、末梢の血管が収縮して血液が流れにくい状態となるためだと言われます。

朝の血圧を測定する場合、原則は起床後1時間以内・食前・排尿後

朝の血圧を測定する場合には、原則は起床後1時間以内・食前・排尿後という条件で統一することが望ましいです。入浴や食事の直後は血圧の変動が激しく、特に高齢者ではその差が顕著になる傾向があるためです。

食事をとると血圧が上昇する傾向がある

食後は消化のため血液が胃や腸に集まります。
健康な人はこのとき自律神経の働きで血圧や心拍数が上昇させて、体を巡る血液の不足分を補おうとします。
しかし、高齢者や疾患によりこの血圧調節がうまくいかないと食事により血圧が下がり、「食事性低血圧」が起きます。

医療現場で簡易的測定の際に使われる血圧計の紹介

医療の場面では家庭や施設における血圧測定よりも精度の高い測定が求められます。
そのためICUなどではかなり大きな機器を使用して全身管理しますが、ちょっとした場面ならば以下のようなものがスタンダードで使用されています。
いろいろ意見があると思いますが、個人的にはバイタルチェックの血圧測定は手首型より上腕型をお勧めします。

医療場面では上腕測定が基本となっているためです。