通所介護(デイサービス)とデイケアの「理美容」の取り扱い
 

通所介護(デイサービス)やデイケアでは入浴や洗髪もありますし、床屋・美容室などの髪を切るカットや毛染めカラーリングなどを受けられたら一石二鳥ですよね。

しかし、通所介護中は、居宅サービス計画(ケアプラン)に記されたサービス内容であり、かつ通所介護計画書でサービス内容を書き出したものでなければ提供してはいけないという話を聞きますよね。
例えば、思い付きでなんとなく屋外に出て散歩などをした場合、サービス提供時間に含まない(原則ダメ)ということになっています。
外出することが施設内より効果的な内容になる場合は、あらかじめ通所介護計画などに計画して本人同意のもといくならば認められています。
実際理美容については多くの利用者にとってニーズであり、注意して取り扱えばデイサービスで理美容可能です。
そのポイントについて、厚生労働省が発表し今も根拠として有効なQ&Aを用いて考えていきます。

※ここで紹介する内容によりトラブルが生じた場合も一切責任は負いません。

厚生労働省による通所介護・通所リハビリでの理美容のQ&A

通所サービス利用時の理美容サービスの利用について(Q&A)

デイサービスセンター等の通所サービスの提供場所において、通所サービスに付随して理美容サービスを提供することはできるか。

理美容サービスは、介護保険による通所サービスには含まれないが、デイサービスセンター等において、通所サービスとは別に、利用者の自己負担により理美容サービスを受けることは問題ない。その際、利用者に必要なものとして当初から予定されている通所サービスの提供プログラム等に影響しないよう配慮が必要がある。なお、通所サービスの提供時間には、理美容サービスに要した時間は含まれない。

デイサービスセンター等において理美容サービスを受ける時間帯は、通所サービス開始前又は終了後に限られるか。

通所サービスについては、利用者ごとの通所介護計画等に基づき、利用者のニーズに応じた適正なサービス提供がなされることが必要であり、通所サービスとの区分が明確であれば、必ずしも開始前又は終了後に限る必要はない。この場合、通所サービスとそれ以外のサービスの区分が明確になされた通所サービス計画について、本人に対する説明と了解を得ていること、通所サービスの利用料とは別に費用請求が 行われていることが必要である。
(平成14年5月14日 事務連絡 介護保険最新情報vol.127に掲載)

引用:介護サービス関係 Q&A集:厚生労働省,  pp44,  606-607

介護職員による散髪はできるか

介護職員が散髪まで行うデイサービスがあるという話はたまに聞きます。
最近は掃除機で吸引しながら髪が刈れるバリカンなど便利なものもあるため、特に専門的な技術がなくても確かに可能です。
しかし、介護施設の役割としては日常生活の世話という範疇がメインとなっているため、散髪が日常生活かというとちょっと違うかなという印象です。
お化粧を通したレクリエーションなど、容姿を整えることがもたらす心理的効果や、素人だから別途料金にならないことによる利用者の費用負担軽減などの面もあります。
しかし、通所サービスの利用料とは別に費用請求が行われていることが必要だが、費用を取ったら理容師法や美容師法に違反するという解釈もでき、指摘されると苦しいと思いますので無理しない方が無難ではないかと思います。

通所介護・通所リハビリテーションの理美容の時間の取り扱い

上記の厚生労働省Q&Aで、理容師・美容師によるカットは可能、ただし通所サービスと理美容サービスはしっかりと時間料金を区分するというポイントがあります。
区分するとは、実際に介護サービスを提供した時間ではないため、理美容に要した時間は提供時間にカウントせず差し引くということになります。
前項で引用した文章という根拠はありますが、解釈や実際の運用については各行政機関により若干違うので
これにより、例えば普段10:00~15:20までの利用の方がいたとしたら、5時間以上6時間未満などの通所介護サービス時間区分ですが、理美容に25分要したとしたら5時間に満たなくなるため算定する単位が異なることもあります。

パーマ・カラー毛染め・メイクなどの美容サービスは通所サービス中に実施はできるのか

パーマ・カラーリングなど、美容院で行うと1~2時間コースになるメニューです。
実際、通所介護と合わせて行うとすると相当の時間がサービス提供時間外になります。
上記の厚生労働省Q&Aで、予定されている通所サービスの提供プログラム等に影響しないよう配慮が必要があるとなっています。
計画されているプログラムやサービス提供時間への影響と、ご本人の希望から判断となるところです。

高齢者や要介護者のメイクに関しては、理容師・美容師などの職業サービスに頼らず、レクリエーション目的や整容や表情筋のリハビリテーションとしてなどで実践する方法もあります。

介護での理美容サービス 髭剃り、顔そりの取り扱い

理容師の業務に、顔そり、髭剃りがあります。理美容に付帯して覚えておきたいのは、理容師が行う分には問題ありませんが、介護職員はカミソリでの髭剃りは行うことは認められていないということです。また、カミソリでの髭剃りや顔そりは美容師も行うことは認められていません。理美容サービスの時に髭剃りもお願いしたいときには、理容師の方に依頼する必要があります。また、カミソリを使用する衛生面・感染予防・サービスにかけられる時間の観点から、店舗以外での髭剃り・顔そりは行わなずカットのみという選択もありえます。

混合介護の開始で理美容サービス以外への広がりも

混合介護(選択的介護)として、介護保険サービスと保険外サービスの組み合わせが一部で可能となる見通しです。

この記事でも取り上げているメイクについては、シニア化粧品が注目されており、化粧品のメーカーなどからシニア化粧品によるメイクの方法などを伝えてくれるサービスなどもできているようです。混合介護の導入で、通所介護での物販等も一部可能となるため、普段化粧品を買いに行けない女性などに喜んでもらえるかもしれませんね。

通所介護での理美容サービスの他にも、混合介護のルールの範囲内で他のサービス組み合わせができてくると、ご利用者のニーズに応えらる通所介護サービスにつながりますね。

※ここで紹介する内容によりトラブルが生じた場合も一切責任は負いません。