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人工透析(血液透析と腹膜透析)と腎不全の介護のポイントまとめ

人工透析血液透析腹膜透析)と腎不全の原因、医療費、通院、水分制限の理由、厚生省透析導入基準など

人工透析(英語:dialysis、ダイアリシス)とは

人工透析は、腎臓の機能が障害されたときに、機械で人工的に血液の老廃物を取り除く医療管理のことです。

血液透析(英語:HD,Hemodialysis)とは

人工透析・血液透析の画像

慢性腎不全の患者の血液を透析装置(ダイアライザー)に通して血液中の不要なもの(尿素、クレアチン、リン酸、一部のタンパク質など)の排除を補います。

血管からダイアライザーに血液を流しいれる関係で、内シャントと呼ばれる手の動脈と静脈をつなぐ手術を行い、そこから血液の出し入れをします。

腹膜透析(英語:PD,Peritoneal Dialysis)とは

慢性腎不全の患者の腹膜腔内に透析液を注入して、自分の腹膜を透析膜として用います。

腹膜の内側に透析液を出し入れするために、カテーテル(チューブ)を埋め込む手術を行います。

お腹から管が出ているため不便はありますが、通院頻度が少なく、在宅中心で日常生活を送れるため、QOLの観点と腎臓の予後の観点から注目されています。

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腎臓の役割

腎臓は血流の多くが通り、血液をろ過して老廃物を尿として生成する役割を持っています。

腎臓の中は極細の血管(ネフロン・腎単位)があり、そこを通過しながら汚れが取られていきます。

このネフロンを通して、濾過、再吸収、分泌、濃縮が行われ、尿のもとが作られます。

例えば、糖尿病などで高血糖状態が続くとそこにも糖が付着して血管が詰まったり穴が開いたりします。

それが進行すると、高度の蛋白尿がみられたりします。たんぱく質が尿として出て行き過ぎるとネフローゼ症候群という状態になることがあります。

このように腎臓が役割を果たせていない状態になると腎不全になります。腎不全状態だと生命の危機となるため、人工的に血流の栄養素や老廃物排出を調整する「人工透析」が必要になります。

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人工透析の原因

腎臓の役割が果たせなくなったとき、つまり『腎不全』の状態です。具体的には腎臓の機能が10%を切っている状態です。

腎臓病=腎不全ではない

一般的に腎臓病と腎不全は同一の病理状態と思われがちですが、実際には異なります。腎不全の状態とは、ろ過ができない状態のことで、電解質のバランス、pH、血液成分の調整が困難になった状態です。

腎不全と人工透析

定義

腎臓は、左右それぞれ約100万個のネフロンによって構成され、この組織が尿の生成、細胞外液中の水や電解質等の濃度を調節する働きを持つ(体液量・浸透圧・pHを一定に保つ)が、この糸球体組織の機能が60%以下まで低下した状態を腎不全と呼び、10%未満まで進行すると透析治療が必要な「末期腎不全」の状態となる。

引用:腎不全 – Wikipedia (2017年4月10日引用)

厚生省透析導入基準

厚生省透析導入基準

保存的治療では、改善できない慢性腎機能障害、臨床症状、日常生活能の障害を呈し、以下の I ~ III 項目の合計点数が原則として、60点以上になった時に長期透析療法への導入適応とする。

I. 腎機能

  • 血清クレアチニン8mg/dl以上 (クレアチニンクリアランス10ml/min未満) → 30点
  • 血清クレアチニン5~8mg/dl未満 (クレアチニンクリアランス10~20ml/min未満) → 20点
  • 血清クレアチニン3~5mg/dl未満 (クレアチニンクリアランス20~30ml/min未満) → 10点

II. 臨床症状

  • 1.体液貯留 (全身性浮腫, 高度の低蛋白血症, 肺水腫)
  • 2.体液異常 (管理不能の電解質・酸塩基平衡異常)
  • 3.消化器症状 (悪心, 嘔吐, 食思不振, 下痢など)
  • 4.循環器症状 (重篤な高血圧, 心不全, 心包炎)
  • 5.神経症状 (中枢・末梢神経障害, 精神障害)
  • 6.血液異常 (高度の貧血症状, 出血傾向)
  • 7.視力障害 (尿毒症性網膜症, 糖尿病性網膜症)

これら1~7小項目のうち3項目以上のものを高度(30点)、2項目を中等度(20点)、1項目を軽度(10点)とする。

引用:厚生省透析導入基準 | 東京大学医学部付属病院 血液浄化療法部

人工透析の医療費

透析には月40万円ほど費用がかかります。ただし、医療保険適応となるため、患者の自己負担は数万円で済みます。

人工透析の通院回数、時間

血液透析を開始すると、週に2~3回透析クリニックなどに通院し、1回あたり4~5時間かけて透析を行います。腹膜透析の場合は、月に1~2回ほどの通院で済みます。

人工透析患者の介護・看護をする時の注意点

飲水量の摂取制限に注意

腎不全の状態の症状として、尿量減少が挙げられます。

腎臓の機能低下の過程では、尿中の毒素の排出のために尿量が異常に多くなる病期もありますが、その後腎臓の機能がさらに低下すると尿量減少が起きます。

この状態では、水分は排出できず、水分をとり過ぎたときには体の中に溜まってしまいます。

腎不全の水分制限の理由

正常の腎臓は、体内の血液量(水分量)を調整するために尿の量を調整しています。

しかし、人工透析を受けている腎不全患者の場合は、水分を尿として排泄する機能が低下し、浮腫や体重増加、血圧上昇などを生じやすくなります。

カリウム、塩分、リンの摂取制限に注意

腎臓の機能が低下していると、カリウム、塩分、リンなどの調整ができなくなります。

また塩分を摂取しすぎるとのどが渇き、水分摂取過多の状態になります。すると上記のような状態になります。

カリウム等の制限の理由

腎機能の低下した患者は、カリウムを排泄できなくなります。カリウムを過剰に摂取した場合は、血中のカリウムが増加した「高カリウム血症」の状態になり、異常に高い場合は心停止などを引き起こすことがあります。

血液透析では腕のシャント側に注意

血液透析で紹介したように、腕の動脈と静脈をつなぎ合わせて血液の出し入れをするシャントという場所を作ります。

この部分は丁寧に扱う必要があり、例えばシャントがある側では血圧を測らないなどの配慮が必要です。

うっかりシャント側で買い物袋を腕に引っ掛けていたり、腕枕にして寝ていたりしないか注意しておいた方がよいでしょう。

出血しやすい方の時は、止血法や出血時の連絡先などを十分に確認しておき、緊急時に備えましょう。

腹膜透析では腹膜炎などの感染症に注意

腹膜とは内臓の表を包んでいる膜です。その部分にカテーテルを通しているため、感染には十分に注意が必要です。

発熱や体調の変化を細かく観察する必要があります。

糖尿病、そして人工透析患者はまだまだ増える

食生活など生活習慣の乱れにより、糖尿病の患者は増加傾向にあります。

人工透析という治療法は腎臓の機能が低下し続けた先にある治療ですが、その前に防ぐために健康診断などで健康管理していくことが大切です。

今までは血液透析が主流であり、かつ医療費が高く保険適応という点で医療ビジネス的に拡大してきた経緯があったようです。

現在は腹膜透析で対応できる程度ならば腹膜透析も取り入れられています。

胸腹水のろ過、胸膜・腹膜の可能性など研究は進む

胸膜・腹膜および胸腹水のろ過機能や、癌や肝硬変などによる難治性の胸腹水の老廃物の貯留の問題などに対する透析や体液ろ過の技術と研究は進んでいます。

人間は恒常性(ホメオスタシス)を維持しながら生命を保っていますが、自分でその恒常性を保てることが一番です。

医療は進歩しますが、自分の体も大切にして自分で治せるコンディションを常に意識していきたいですね!