健康診断の血液検査値、各項目の値の意味と疑う病気
 

血液検査項目で移乗が出たりすると気になりますよね。
全身の健康状態を把握する上で、血液検査は有用です。その項目の意味や基準値、異常値が出るときはどんなときかなどはわからないことも多いのではないでしょうか?
この記事では高齢者介護や、定期健康診断などで行われる血液検査について知っておきたい基本的な項目をささっとまとめました。

総蛋白、血清アルブミン

血清中に含まれるたんぱく質の総量のことを血清総蛋白と言います。その主成分はアルブミンで、肝臓で合成されます。
血清アルブミンは高齢者の長期にわたる栄養状態を見るための指標として最も有効です。アルブミンが3.5g/dl以下の状態だと、骨格筋の消耗が始まっている可能性があります。

肝機能 AST(GOT)、ALT(γ-GPT)

AST(GOT)、ALT(GPT)は、肝・胆道疾患の指標として重要な検査です。ASTは肝臓以外に心臓、筋肉などの疾患や溶血性疾患でも上昇します。
γ-GTP(ガンマジーティーピー)は脂肪肝やアルコール性肝炎などで上昇します。

腎機能 血清クレアチン、eGFR、血中尿素窒素(BUN)

血清クレアチン

クレアチニンは筋肉が活動したあとに発生するもので、いわゆる老廃物です。本来は血流にのって腎臓の糸球体という場所でろ過されて排出されますが、腎機能が悪くなると高値になります。ただし、血清のクレアチニンは軽度の腎機能障害では高値になりにくいです。また、クレアチニンは筋肉が活動したときの老廃物なので、高齢者などで筋肉量が少ない場合には低値になります。

eGFR(推算糸球体ろ過量)

最近ではクレアチニン値・年齢・性別という三つの要素をかけあわせたeGFR(推算糸球体ろ過量)という指標を用いることが増えてきました。
GFR=Glomerular Filtration Rate(糸球体ろ過量)は、腎臓の糸球体がどれくらいの老廃物をろ過することができるかを示します。おおよそ腎機能のパーセンテージに対応しており、GFRが75ml/分であれば、腎機能が健康時の75%程度と考えることができるそうです。血清クレアチニンの値と推算糸球体ろ過量(eGFR)から慢性腎臓病(CKD)の信仰の程度を推定することもできます。

血中尿素窒素(BUN)

血中尿素窒素(BUN)も腎機能が悪くなると高値になります。お肉やお魚、豆などの主栄養素は「たんぱく質」ですが、そのたんぱく質を消化するとアンモニアという有害物質が発生します。アンモニアを体内にとどめておくと毒なので、体の中では無害な「尿素」の形にして腎臓でろ過して排泄します。脱水、たんぱく質のとり過ぎ、消化管出血、悪性腫瘍、高熱などの消耗性疾患の場合も高くなりやすいです。

血算(けっさん)

血算は赤血球、白血球、血小板の検査です。貧血や炎症の判定などに用いられます。

赤血球が少ない場合

大球性貧血など

白血球

白血球が多い場合

細菌感染、炎症、喫煙、副腎皮質ステロイド投与、ストレス、悪性腫瘍、白血病など

白血球が少ない場合

ウイルス感染症、再生不良性貧血など

血小板

血小板が多い場合

炎症など

血小板が少ない場合

薬剤性、肝硬変など

血糖血、HbA1c(へもぐろびんえーわんしー)

血糖値

空腹時血糖 耐糖能低下 110mg/dl以上、 糖尿病 126mg/dl以上

食後血糖 耐糖能低下 140mg/dl以上、 糖尿病 200mg/dl以上

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

HbA1cは糖がヘモグロビンと結合している割合を示していて、過去1~2か月の平均的な血糖レベルを反映する性質を持っているため糖尿病の進行度把握や治療効果把握などに有効だと注目されています。

CRP(C反応性たんぱく質)

CRPは感染症などの炎症性疾患における炎症の程度を判定する検査です。感染症以外にも悪性腫瘍、膠原病、梗塞、組織崩壊などでも高値になります。

電解質(イオン)

電解質の代表としては、ナトリウム(Na)、クロール(Cl)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などがありますが、これらは5大栄養といいます。
素電解質は脱水や水分過多、腎機能障害、降圧剤、利尿剤、副腎ステロイド薬などの薬剤投与で異常値となることもあります。

血液検査は全身状態を把握できるが治療方針は医師から

血液検査の値がどのようなことを示すかは知っておいて損はないですが、血液検査の結果から治療方針や生活上の注意点などを診断するのは医師です。
尿検査(検尿)やX線検査、心電図などと合わせて、どのようなものなのか、どんな項目があるのかだけ知っておきましょう!