飼い主が死亡したときのペットが引き取り先、一緒に住める介護施設
 

高齢者がペットを飼う効果はとても有意義と言われますが、入院や要介護で老人ホーム入所などの時に飼えなくなることも多いです。
飼い主が亡くなったとき飼っていたペットをどうするのか、一緒に住める老人ホーム・介護施設はあるのか、ペットが飼えなくなったときの引き取り先や世話してもらう仕組みや団体などをまとめてみましました

内閣府が2003年に実施した「動物愛護に関する世論調査」によると、犬や猫をはじめ、ペットを飼う人は日本人の3人に1人というデータがありました。
このころからでしょうか、ペットブームから「ペットも家族」という風潮が現れて、動物が癒しを与えてくれる効果的なものとして広く受け入れられてきています。
しかし、当時買い始めた家族同然の犬・猫などのペットたちは、高齢になり自分で世話をすることが困難になったとき行き場に非常に苦難するものです。
ここではペットを飼っている高齢者が老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに入居したり、逝去したときに残されるペットはどうしたらよいのかの糸口を見つけてみたいと思います。



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老人ホーム・介護施設に「ペット可」の障壁

老人施設に限らず、賃貸住宅の多くでペットは不可となっています。
ペットの匂いはなかなか取れません。ペットを飼った後の部屋は、室内のクロスから床まで全部変えないと次の人に渡せないこともあります。
賃貸住宅でもペットは不可です。そのような中で老人施設・老人ホーム・病院などではペットも連れてきてOKとはなかなかなりません。
ただ、ペット同居も可能という老人ホームもちらほらですが出てきています。

ペット可の特別養護老人ホームもある

例えば、特別養護老人ホームでもペットを飼ってOKという施設が出てきて2015年にメディアで取り上げられました。
横須賀市にある特別養護老人ホーム「さくらの里山科」では伴侶動物福祉という特徴を掲げてペットを受け入れています。

6.伴侶動物福祉
愛犬、愛猫と一緒にご入居できます。
 愛犬、愛猫と別れることなく、一緒に生活できます。
 愛犬、愛猫のお世話は職員が致します。
 お世話代はかかりません。実費(餌代、消耗品代、医療費)のみご負担下さい。
・捨てられた犬や猫を引き取り一緒に生活します。
※横須賀の動物愛護センター(保健所)では犬猫の殺処分は非常に少ないのですが、全国では
  毎年数十万匹の犬や猫が殺処分されています。
・アニマルセラピー効果が期待できます。
・動物嫌いの方、アレルギーの方は犬や猫がいないユニットにご入居頂きます。

ペット可の老人ホーム・介護施設を探す方法

例えば、「老人ホーム検索サイト みんなの介護」では、老人ホームを探してもらうときに「ペット可」に絞り込んで探してもらうことなども可能です。
介護付き有料老人ホーム(特定施設)でもペットと一緒に暮らせる施設が増えてきています。
それだけペットを許可する老人ホームも増えては来ていますが、やはりペットが住んだ物件(居室)は清掃や原状復帰にコストがかかるため、ある程度の予算は必要になります。

 

ペットのことも考えて老人ホームや介護施設を探す場合には、期間的にも余裕をもって探し始めましょう。


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入院や老人ホーム入居したときのペットの預かり先・引き取り先

現実的なところだと、ペットを飼っている人は老人ホームの入居と同時にペットを別れる選択になることが多いです。
老人ホームに入居するときには自分の身の回りのこともなかなか難しい状態になっているからです。
その状態でペットを見たいと言ってもなかなか難しく、可哀そうではありますがどこかで預かってもらうか引き取ってもらうしかありません。

親戚や子供などの家で飼ってもらう

もしも親戚などでペットを預かってくれるときはこの方法に越したことはないでしょう。
外泊時などにペットに会えますし、自分の信頼できる親族なら心配は少なくいられることと思います。

ペットホテルにを利用して預かってもらう

ペットホテルというショートステイのような施設もあります。
相場的には1泊あたり3500円~8000円ほどです。犬猫を預かってエサをやって、散歩してくれたりします。
ただ、これも費用が掛かるものなので一時的には利用価値がありますが、長く続くと現実的ではありません。

友人などの人脈で飼い主を探し引き取ってもらう

なかなか難しいですが、友人や知人を当たり、飼い主を見つけることも行われます。

ネットで飼い主・里親を探す

例えば、「犬の里親募集情報 ペットのおうち」では、里親になりたい人と、犬猫を引き取ってもらいたい人のマッチングを行っています。
知り合いで買ってくれる人が見つからなくても、ネットのこのようなサービスで飼い主が見つかるケースは増えています。

日本動物福祉互助会に入会しておく

「もうやめよう殺処分!!飼えなくなった犬や猫のペットに対する責任を考えましょう!」というスローガンの下、あらかじめ会費を払い、いざというときに終生飼育する仕組みを運営しています。

えんぜる互助会員になると、こんなとき安心です。

  • 引越し、転勤、飼い主さんの病気などの理由で飼えなくなってしまったペットを引き取り終生飼育します。
  • 里子希望のペットは里親さんを探します。 見つからなかった場合には日本動物福祉互助会で終生飼育します。
  • ペットの事の悩み事なら何でも相談にのります。(医療に関する相談はお受けできません)

えんぜる互助会員
入会金   3,000円
年会費  10,000円
引用: 日本動物福祉互助会 犬や猫などのペットのための互助の仕組み

ペットホーム、老犬ホーム、老猫ホームに預ける

この記事で取り上げてきたように、高齢者のペットをどうするかという問題が増える中、ニーズに合わせて生まれたのがペットホームです。
ペットホームは、犬や猫の老人ホームのようなもので、犬猫の世話をする施設です。
費用的には入会で50万円~150万円、毎年エサ代や世話代で30~100万円くらいです。
足元を見たビジネスのような印象もありますが、割とニーズに合っているサービスではあると思います。
本当にかわいがっている家族ならば惜しくない価格なのかもしれません。

管轄の保健所に持ち込む

保健所に犬・猫を持ち込むという方法もあります。これは最終手段です。5000円ほどの費用を支払い、原則殺処分になります。

アニマルセラピー、動物から癒される効果

動物が持つ力についてです。近年、介護施設などでも「アニマルセラピー」として動物が持つ癒し効果を臨床応用する試みが実績を出し始めています。
介護施設などでは、専門的な訓練を受けたセラピードッグや介助犬などが配置されています。
セラピードッグは、多くの人から触られたりしても嫌がらず、吠えず、トイレにもしっかりいけるなど優秀な犬です。
施設にはそのような犬などがいますが、自宅で普通に飼っている愛犬・愛猫は多少嫌がったり吠えたりしても飼い主にとっては可愛いものです。

老人のペット問題は身近にある

老人のペット問題は現代ではだれにとっても身近な問題になっています。
道を歩いていれば犬の散歩をしている中高年とたくさんすれ違いますが、ある日倒れてしまいそのまま要介護となったときペット問題は訪れます。
自分も世話される状態で、犬をどうするか…。場合によっては悲しい決断を自分や家族がしなければならないという話も聞きます。
里親という形でペットを飼いたい人と、あらゆる理由でペットを引き渡したい人のマッチングサービスなどが現在良い形で動き始めています。
ただし、このように余裕をもって里親をさがすことができないことも多々あります。
その時のために、自分の老後だけでなく、大切なペットの老後も考えておく必要があります。
また、身近な中高年がペットを飼っているときは、ちょっと知恵をつけてあげておくといざというときに対応しやすいのでお勧めします。


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