SpO2とは? 正常値や危険値・低下の理由、パルスオキシメーターの仕組み
 

バイタルサインのひとつで、パルスオキシメーターで測定するSpO2(動脈血酸素飽和度、サチュレーション)について、測定の仕組みや、正常に測定できないときの原因などについてまとめました。肺炎の場合、喫煙直後、貧血患者、呼吸困難、体動や振戦のSpO2測定の注意点も補足しています。

医療介護分野に入ると、バイタルチェックすべきバイタルサインの中にSpO2という項目があります。
エスピーオーツー」を何となく測定してしまっている場合もあるかもしれませんが、ここでちょっと。
パルスオキシメーターでSpO2が測定できる仕組みと、測定できないとき原因と対処を考えてみましょう。

パルスオキシメーターで測定するSpO2(エスピーオーツー)とは

SpO2 サチュレーションは、日本語で「経皮的動脈血酸素飽和度」

パルスオキシメーターで測定しているSpO2とは、皮膚の上から動脈の中の酸素(O2、オーツー)の飽和度(Saturation、サチュレーション)のことです。

SpO2とSaO2(血液ガスデータでの動脈血酸素飽和度)の違い

SaO2(エスエーオーツー)とは

SaO2(エスエーオーツー)は、arterial oxygen saturationの略で、血液ガス検査で求める酸素飽和度です。

SpO2(エスピーオーツー)とは

SpO2(エスピーオーツー)は、percutaneous(経皮的)oxygen saturationの略語で、経皮的パルスオキシメータで求める酸素飽和度です。
SpO2=SaO2ではありませんが、近似した値となります。

SpO2の正常値は95%~99%、それ以下が危険値

SpO2の正常値は95%~99%と言われます。95%以下の場合には、異常な状態です。
中には、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患で常にSpO2が95%より低い値の方もいます。

また、在宅酸素療法(HOT)の方などでは、酸素の流量によりSpO2の値が変化し、一般の正常値とは別に、医師などから個別のSpO2基準値を設定されているケースもあります。

パルスオキシメーターでSpO2を測定できる仕組み

パルスオキシメーターは爪に光線を当てて、血液に含まれる酸素の度合い(%)を測定
パルスオキシメーターで測定するSpO2(動脈血酸素飽和度)は、動脈血にどれくらいの割合で酸素が結合しているかを測定しています。

呼吸により肺で血液中のヘモグロビン(Hb)と酸素が結合します。酸素を沢山含んでいる動脈血は赤い色になります。
へグロビンは、酸素が沢山くっついていいる程赤くなり、酸素が少なければ少ないと黒味がかった色になります。
その原則を応用して、パルスオキシメーターは爪に光線を当てて、血液に含まれる酸素の度合い(%)を特殊な方法でSpO2として測定しています

SpO2が測れないとき・危険値が出る理由・注意点

高齢者の誤嚥性肺炎などの早期発見に役立つ

高齢者の誤嚥性肺炎などの場合、咳や痰などの肺炎症状が現れにくいことがありますが、SpO2の値は通常より下がることが多いです。聴診器を使って聴診をしても、高齢者はもともとの換気量(呼吸で取り入れる空気の量)が少ないので、異常を見逃すこともあります。SpO2は肺での換気がうまくいっていないときに低下するので、ほかの所見と合わせて肺炎などの早期発見に役立ちます。

喫煙直後は、本当の酸素飽和度より高く出る

通常のパルスオキシメーターでは、酸化ヘモグロビンと、一酸化炭素ヘモグロビンとを区別できません。一酸化炭素もヘモグロビンと結合すると赤っぽい色になってしまうためです。

そのため、喫煙直後にパルスオキシメーターでSpO2を測定した場合は、実際は酸素が十分ではないにもかかわらず本当の酸素飽和度より高い酸素飽和度が出たりすることがあります。

貧血の患者の場合、SpO2は正常値でも本当は低酸素状態の場合も

もともとヘモグロビンの量が少ない貧血の方の場合、パルスオキシメーターの仕組みは流れている動脈血100%に対して酸素が結合している割合を算出してSpO2の値としています。

貧血の場合、動脈血が少ないなりに酸素が結合していればSpO2が100%近い値を示しますが、身体に必要な分の酸素を運べているとは限りません。

呼吸が乱れた状態でも、SpO2が正常値のこともある

呼吸のリズムがおかしいとき、呼吸が浅くて苦しそうな時に、バイタルチェックとしてSpO2を測定したら正常なこともあります。
じゃあ酸素はちゃんと身体に行ってるから様子をみましょう」という安易な判断は絶対にいけません。その他の所見や普段との違いも加味して適切な処置を。

末梢循環不全の場合、SpO2が正確に測定できない

末梢循環不全で指先の血の巡りが悪い場合、SpO2が低い値になることがあります。
極度の低血圧、強皮症などの膠原病、低体温などにより、測定部位の指先に血流障害があると、パルスオキシメーターで拍動を検出できず、測定に十分な状態に達しないためです。

測定する場所が揺れたり動いたりすると正確なSpO2が測定ができない

振動が加わると、パルスオキシメーターは動脈と静脈を区別しにくくなるため、測定値の信ぴょう性が低下します。激しい体動や震え(振戦など)がある場合も同様です。

SpO2の測定の時には、温かく落ち着いて、1分ほどかけて

パルスオキシメーターで測定するSpO2の値は、10秒ちょっとの間の平均値を算出して表示する機器が多いです。
バイタルサインで数値を測定する場合に共通していますが、測定時間はある程度の長さ確保して表示された値の方が信憑性が高くなります。
簡単にですが、パルスオキシメーターの仕組みと注意点などについて紹介でした。

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バイタルサインについてはこちらの記事にまとめています